Searching for the Young Soul Rebels

音楽、映画の話題を中心に、自身が経験した病や離婚について、はたまた離れて暮らす息子のことなど、徒然なるままに書いていきます。

ワタシが70歳になっても~西原理恵子「ダーリンは70歳」に寄せて

こんなにも素敵な恋愛を僕は久々に見たかもしれない。スペリオール連載中の西原理恵子「ダーリンは70歳」の初単行本。西原理恵子50歳と高須克弥70歳、合計120歳のバカップル物語だ。1月22日発売のスペリオール4号では「ダーリンは71歳」に改題されているそうである…!

ダーリンは70歳 (コミックス単行本)

ダーリンは70歳 (コミックス単行本)

 

 西原理恵子の古くからのファンであれば、その傍らにはいつも高須院長がいたのは誰もが認めるところ。作品にもちょいちょい登場して、このふたりいつかは…と感じた読者も多いだろうと思う。とはいえ、このふたりの出会いエピソードと、作品でも描かれていた西原の「やらせろよおまえ! 殺すぞ!」発言に震えた。あれ事実かい…!

 

さて本作、基本的にはふたりのバカップルエピソードで構成されているが、やはりところどころ現れる、胸を鷲掴みにされるやりとりや言葉にノックアウトされる。前夫の鴨志田さんを「あなたの膝で見送ってあげなさい」と忠告した院長。50歳になってもやっぱり「女子」な西原の女心。若返りたい西原に「そんなのやめて一緒に年をとろうよ」という言葉をプレゼントした場面。きわめつけは次のやりとりだ(要約)。

西原「19歳の頃の私を助けて。そうすればあんなたくさんの辛い思いしなくてすむ」

院長「助けない。そんな全部があったからあなたはここにいるのだから」

 バカップルだけど、とても素敵なふたりだ。

 

年を重ねると、なかなか素直に恋愛できなくなる。酸いも甘いも知っているからこそ。人生には悲しみの方が多いと気づいてしまったからこそ。でも、本作を読んで、そんな自分の考えが浅はかだったと痛感。何歳になっても恋愛は恋愛なのだ。バカになるのだ。その姿は愚かで、同時にとてもいとおしいものじゃないか。世間がベッキーを非難しようと、僕にはとてもいとおしく感じられる。「僕に残された時間は少ない」と院長はいう。でも、それは誰にでも当てはまる。僕だって、次の瞬間に死んでしまうかもしれないし。

 

僕はいま37歳。あと30年後にこんな素敵な女性と出会って、バカになれるのだろうか。わからない。でも、どっちにしろ楽しみにして生きていたい、な。実家の本棚に眠っている「いけちゃんとぼく」を久々に読み返したくなった。初めて読んだのはもう10年近くも前だ。あぁ、でも、僕はまだ恋してる。

いけちゃんとぼく

いけちゃんとぼく